「オフショア転売取引貿易」に関する取材記録
復旦大学上海自由貿易試験区総合研究院の盧華院長助理と上海社会科学院国際金融貨幣研究センターの孫立常務副主任はこのほど、上海自由貿易試験区が推進している「オフショア転売取引貿易」について浦東時報紙による取材を受けた。
上海自由貿易試験区 写真・VCG
(問)「オフショア転売取引貿易」はどんなことでしょうか。このモデルは国際的な通用性を持っているのでしょうか。
(盧華院長助理)「オフショア転売取引貿易」とは、資金フローの両端は海外にあって商品は入国しなくて済む新型の貿易モデルです。すなわち、商品のサプライヤーとバイヤーは中国で契約し、その資金も中国の銀行口座に入るが、実際の商品取引は中国の港で発生しないということです。現時点の政策により、取引記録の真実性が確保できる「オフショア転売取引貿易」は許可されています。こういう「オフショア貿易」はいくつか種類があります。一は仲介商モデルです。商品市場での情報の優位性を利用して、取引における基本的な条件を満たすということです。二は商業代理モデルです。チェーンの上流と下流の間で商業代理のサービスを提供するということです。三は多国籍企業による集中的な買い付けと販売モデルです。
(問)上海自由貿易試験区や上海に対し、「オフショア転売取引貿易」にはどんな意味があるのでしょうか。
(孫立常務副主任)商品の流通は海外、資金の決済は国内で発生しますので、こういう貿易モデルは資金・情報を上海に集める効果を持ちます。それに伴う国際注文量や貿易決済の規模が拡大し、貿易分野の意思決定センターが集積し、資金運用会社、新型貿易会社、ビジネス分野のハイレベルの人材が導入され、上海の国際貿易センターとしての機能が強化されていきます。
一方、「オフショア貿易」の発展には関連の資金決済、保険、貿易金融など、様々な金融サービスの提供は必要とされます。「オフショア貿易」の発展は上海の金融サービスを向上させ、上海が世界資源配分のハブになるように助力します。
「一帯一路」イニシアチブの背景の下、多くの国内企業は海外進出を図っています。海外で工場を設置し、直接商品を輸出することは「オフショア貿易」に対するニーズを高めます。上海自由貿易試験区における「オフショア貿易」の発展は「一帯一路」の橋頭堡としての上海の地位を確立するでしょう。
(問)かつて「オフショア転売取引貿易」の発展における課題はなんでしょうか。今度はどう解決するのでしょか。
(盧華院長助理)「オフショア転売取引貿易」は以前、資金・商品・証明書類に厳しい制限がありましたが、上海自由貿易試験区の各部門は協同して新たな監督管理モデル(ホワイトリスト登録制度)を導入し、「オフショア転売取引貿易」の健康的な成長を促しています。
(孫立常務副主任)「オフショア転売取引貿易」の注文と資金フローは中国で発生しますが、商品はそうではありません。だからこそ監督管理上の対策が重要です。上海市の銀行業界はこのほど、「第2回輸入博(中国国際輸入博覧会)自由貿易アカウントオフショア転売取引金融サービス案」を発表し、自由貿易アカウントによって輸入博で契約発生した「オフショア転売取引貿易」にサービスを提供しました。これは「オフショア貿易」の発展への模索とも言えるでしょう。
(問)中国で「オフショア貿易」を展開する多国籍企業にとって上海自由貿易試験区の魅力はなんでしょうか。
(盧華院長助理)中国は大きな市場を持っていて、それは商品市場だけではない。例えば、輸入博は輸出入のプラットフォームでありながら、世界市場における資源配分も行っています。
上海自由貿易試験区は今回「オフショア転売取引先行示範区」を設置し、フラット化の監督管理モデルで「オフショア貿易」を促そうとしています。示範区に進出した企業は監督管理部門の指導を受け、国際慣行に沿って業務を展開するとともに、関連部門も新たな貿易監督管理モデルを模索します。
(孫立常務副主任)「オフショア転売取引先行示範区」にイノベーションに関するより大きな権限を委譲し、この特別地域内で試行錯誤を繰り返すべきです。
(問)世界的に見ればどんな優れた転売取引貿易モデルがあるのでしょうか。それに関してどんな政策が参考になるのでしょうか。
(盧華院長助理)中国香港とシンガポールでは「オフショア貿易」が活発に展開されています。便利な資金調達・為替と優れたビジネス環境も我らの参考になるでしょう。
(孫立常務副主任)中国香港とシンガポールにおける現代サービス業が発達しているのは、「オフショア貿易」がけん引する産業チェーンの上流と下流のニーズが原因です。例えば、海運ハブの形成には「オフショア貿易」が必要だと思います。
写真・Sipa