上海で研究開発センター建設を急ぐ外資系企業 新たなキーワードは「オープン」
ブルーノ・シェボー氏 写真・新華社
コロナ禍は外資系企業の中国へ投資を加速する歩みを阻むことができない。16日、食品・飲料を手がける多国籍企業、ダノンは、上海において傘下のオープンイノベーション科学研究センターを発足させたと発表した。上海市商務委員会による最新情報を見ると、470余りの外資系研究開発センターは上海に設置されている。
「30年以上中国市場を深く耕し、ダノンは終始一貫で中国消費者の健康やライフクオリティの向上に取り組んできた」。ダノン・ニュートリシア・アーリーライフ・ニュートリション大中華・オセアニア地区シニア・バイス・プレジデントのブルーノ・シェボー氏(Bruno CHEVOT)は、世界が新型コロナウイルスという試練に直面している中、健康・栄養分野の協力は一層重要になるのだ。新たなダノン・オープンイノベーション科学研究センターは中国の企業や事業体、大学、栄養・医療専門家との緊密な連携を促し、中国でのイノベーションを加速させ、中国を出発点として世界に利益をもたらす革新の歩みを推進すると述べた。
同氏によると、ダノンにとって中国は世界第二の市場で、2019年中国法人がグループ売上高全体の10%近くを占めた。ダノンは世界中の研究開発リソースを利用し、中国、特に上海の科学研究における優位性を活かし、健康・栄養に関する科学研究を加速させていくという。
「中国、上海に立地すると決めたのはここにあるイノベーションセンターとしての特質を見極めたからでもある」とシェボー氏は企業が上海の優れたビジネス環境や不断に向上する質の高い開放(オープン)に恵まれたことに触れた。
「オープン」な科学研究センターを建設するのは、研究者たちの最先端の科学研究への取り組みに有利になるし、研究成果の実用化と使用をも加速させることができるとシェボー氏。
上海市商務委員会の楊朝副主任は、同市に現在470以上の外資系研究開発センターが集まっている。その建設において、「オープン」が新たなキーワードになりつつある。オープンで外部としっかり協力する「ウィキペディア式」の研究開発センターが将来発展のトレンドであると指摘した。
中国における最も重要な戦略投資として、ダノンの新しい研究センターはオープン・協力的・包摂的なイノベーション生態系を構築する。百名以上の栄養、食官能、食安全・品質、デジタルイノベーション分野の科学研究者は母乳研究、腸の健康、食安全・品質という3つのアジェンダにピントを合わせる。
注目に値するのは、中国における臨床研究イノベーション拠点として、センターはローカルインサイトとデジタルイノベーションソリューションを緊密に結び付け、中国消費者の栄養と健康ニーズを満たすための革新的な製品やサービスを開発していくことだ。